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| 数日後、その事件は新聞の片隅に小さく記事となった。 |
| 何とか救出されたハイネックスはまだ意識がもうろうとしているようで、 |
| 事件の真相を語れるまでには回復していなかった。 |
| とある墓地。 |
| その毎日晴れた朝はこの公園でのあるベンチでくつろいでるおじさんが、その記事を目にしていた。 |
| 何も代わらぬ朝だが、その公園の向こう側にある墓地では、新たな家族が悲しみに暮れていた。 |
| 墓の前に膝をつき、周りの大人たちになだめられている青年、ジェィク |
| 周りの目も気にせずに嘔吐の声を漏らしている。 |
| 『なんで俺の周りばかり』 |
| 彼はその言葉を繰り返していた。 |
| 墓石の名はMillian.Beaker 21歳と若くして命を落としていった女性であり、ジェイクの恋人でもあった。 |
| ジェイクにしてみれば3人目の失った恋人。 |
| それを知ってか、彼女の母親のあらかさまにジェイクを恨んでいるようであった。 |
| 「最後の一時まで彼女は幸せだったと信じているよ」 |
| 父親は妻をなだめながら、ありきたりの言葉で彼を慰めるので精一杯だった。 |
| 余りその場に居ると妻が彼につってかかるだろうとも思ったのだろう、妻を連れてゆっくりと移動を始めた。 |
| 周りの人たちもその夫妻について序々にその場から離れ、やがてジェイク一人となった。 |
| 朝そろそろ人が町にあふれる頃だろうか? |
| 濃い霧がその町の活動を隠すかのようであった。 |
| ジェイクは墓石に頬を寄せ寄りかかった。 |
| 最初の彼女は癌で病院で息を引き取り、2人目は強盗に襲われ、3人目のMillianは飲酒運転での交通事故 |
| 偶然では無いだろう。 |
| 彼の思いはもう、一人で居た方がいいのであろうと呪われている自分の運命にあきらめていた。 |
| 「ジェイ・・・」 |
| そう彼女は自分を呼んでくれた。 |
| 「ジェイ・・・」 |
| ジェイクは目を開けた。 |
| 錯覚であろうか?その声を聞いて慌てた。 |
| 起きあがろうとしたが体が動かない。 |
| 何とか体を捻り仰向けになると、 |
| 女性が自分の顔をのぞいている。 |
| 彼女はそっとジェイクの顔を手で挟み、親指で彼の頬をなでる。 |
| 「なんだよ驚かせやがって、タチの悪い冗談だ。」 |
| 彼女は微笑んだ。 |
| 体が動けば彼は彼女を思いっきり抱きしめていただろう。 |
| いつの間にかに、周りから色とりどりの花が霧の隙間から現れて花の香りがした。 |
| 何度かMillianとはピクニックにはでていたがこんなに気持ちよい場所には来たことはないな。 |
| ジェイクはMillianの膝の上で頭を動かさずに周りを感じてそう思った。 |
| あなたの為に用意したの・・・ |
| 彼女はジェイクの顔からそっと手を離し回りを見渡して、またジェイクの顔をのぞき込んだ。 |
| 「何?」ジェイクは優しく聞いてみた。 |
| Millianは親指で彼の口をふさいだ。 |
| 後悔しないで・・・私は大丈夫。あなたのおかげでここに来れたのだもの・・・ |
| ジェイクは唐突なその言葉に驚いた。 |
| そして何かを言おうとしたが声が出ない。 |
| ジェイあなたはこれからの運命に負けないで強く生きていて・・・決してあきらめないで・・・ |
| その言葉を最後に、Millianの体は中を舞うようにフワリとジェイクの体から離れていく |
| 気をつけて、そしてありがとう・・・・さようなら・・・ |
| 鳥の羽が舞っているように。いや舞っていたのかもしれない。 |
| 空気も重力も薄れていた |
| Millian....Millian.... |
| 離れていく彼女を引き留めるように叫んだが声が出ない。 |
| 「Millian!!」 |
| 次の瞬間、目を開いた先は自分の部屋だった。 |
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